窓
男が重い病気で入院していました
ふたりは同じ病室で隣り合わせのベッドに寝ていました
ドアは廊下に面していましたが、ひとつの窓が病室の外を見晴らしていました
二人の患者のうち、ひとりは午前中に一時間ほどベッドの上に起き上がることを許されていました。彼のベッドは窓際にありました
もうひとりの患者は起き上がることは許されず、いつも天井を見つめて寝ていなければなりませんでした
二人は安静に過ごすために、読書もテレビも許されていませんでした
ふたりだけの病室で、退屈な毎日が続くうちに、ふたりはポツポツと話すようになりました
家族のことや仕事のこと、休みにはなにをしていたか、病気がなおったらなにをしたいか・・・
毎日、午後の一時間、ひとりはベッドに起き上がると、外の景色を眺めては寝たきりの患者に自分が見たことを話して聞かせました
もうひとりの患者にとって、その一時間が最大の楽しみになりました
どうやら窓は、公園を見下ろす位置にあるようです
公園には大きな池があり、アヒルや白鳥が泳いでいるということでした
ある日には、子どもたちがパンくずを投げ与えている様子を、またある日には親子がおもちゃのヨットを浮かべて楽しそうにしている様子を男は寝たきりの患者に話して聞かせました
恋人同士が手をつないで散歩しているときもありました
花壇にはマリーゴールドが咲き乱れ、何種類ものバラが咲き誇っていました
その向こうに広がるテニスコートでは時に試合が行われ、見事にその様子を話してくれました
寝たきりの患者はそのひとつひとつの話に聞き入りました
聞いているだけで情景がありありと浮かぶようでした
今、外の世界と繋げてくれるのは、男の話だけです
男はふと思いました
どうして窓のそばに寝ている男だけが、公園の様子を眺める楽しみを独占しているのだ?
だんだんと恨みがましい思いが湧いて、四六時中そればかりを思うようになりました
ある夜、彼が眠れずにむっつりそんなことを考えていると、隣のベッドで激しく男がせき込みました
息も絶え絶えで、宿直の看護師を呼ぼうと苦し気にブザーのボタンを手探りしています
窓から遠いほうの男は身動きせずに、その様子をうかがっていました
自分だけ、窓から外を見るなんてことをした報いだ・・・
朝が来て、看護師が窓際の患者が亡くなっていることに気づき、そっと亡骸を運び去りました
生き残った患者は、自分のベッドを窓際にかえてほしいと申し出ました
看護師たちが彼のからだを隣のベッドに移し、安静を保つように言い含めて出ていきました
ひとりになった男は、時間をかけてやっとの思いで身を起こしました
そして、ハアハアとあえぎながら、窓の外に目をやりました
男の目に映ったのは、窓の外に立ちはだかっている、はだかの壁でした
灰色の壁を見て、男は声を失いました
●小さなところでも、こんな過ちを犯していることが案外ありそうです。わたしの境遇を不幸にしているのは、誰か(何か)だと外に原因や敵を求めます
あいつさえいなければ、あんなことさえなかったら
こうした回路にはまると、すべてに終わりがありません
すべてがつまらなく見えてきます
そして、本当はそうではないことを一番知っているのは、当の本人ではないでしょうか
人の人生を生きていくことはできません
自分の人生を歩いていくしかないのです
それがまた他者の笑顔につながれば、こんな素敵なことはないですね
おかげさま、なんですから
トカゲピコのブログから引用でした
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
パクリピコの記事
もとい
トカゲ草場の記事だけど
いやー衝撃だった!
この内容が衝撃だったんじゃなくて
トカゲ草場やパクリさんと見る視点が真逆なのに衝撃を受けた
これはやばい!!
最後のここ↓
男の目に映ったのは、窓の外に立ちはだかっている、はだかの壁でした
灰色の壁を見て、男は声を失いました
ここ↑を読んで 私は
亡くなった男性に意識がいったのね
その男性は 幸せの世界(妄想)にいて
幸せのまま 亡くなったんだ
よかったねと
私も たとえどんな状況でも
幸せのまま 死にたいなぁと思った
ところが
パクリさんの感想はこちら
スクショしたから ぜひ読んでみて
見る視点が違うとこんなにも違うんだよ